RSウイルス感染症と乳幼児の突然死

RSウイルス感染症と乳幼児の突然死

今日は2012年10月4日。
今年もまたRSウイルス感染症の流行期がやってきました。
と同時に、当院でもRSウイルスによる重篤な下気道疾患予防
のためのシナジス注射を開始しています。

 

 

さて、今日は呼吸器感染症として知られている
RSウイルス感染症と乳幼児の突然死について
取り上げてみようと思います。

 

 

■RSウイルス感染症と乳幼児の突然死

 

 

以前の記事でも取り上げましたが、
RSウイルス感染症に罹患すると、
その症状の一つとして
無呼吸発作
を呈することがあります。

 

 

RSウイルス感染症と新生児の無呼吸発作

 

 

無呼吸発作はその名の通り、
呼吸が止まってしまうわけですが、
二つに分けて考えられます。

 

 

@未熟児無呼吸発作あるいは原発性無呼吸発作

 

 

未熟児でありかつ明らかな基礎疾患が認められない無呼吸発作。
私は以前、NICUに勤務していましたが、
NICUに入院するような早産児の赤ちゃんなどでは、
こうした未熟性に起因する無呼吸発作は決して珍しいものでは
ありません。

 

 

仮にNICUでRSウイルス感染症が流行しようものなら、
それこそ一大事であり、厳重な注意を払い、
感染予防を行っています。

 

 

A二次性無呼吸発作

 

 

以下のような各種の基礎疾患を有しているもの

 

 

(1)中枢神経疾患

 

a)低酸素性虚血性脳症、
b)頭蓋内出血、
c)脳梗塞、
d)髄膜炎、
e)水頭症、
f)脳奇形、
g)けいれん

 

 

(2)呼吸器系疾患

 

a)低酸素血症(RDS、肺炎、MAS)、
b)気道閉塞

 

(3)循環器系疾患

 

a)うっ血性心不全、
b)動脈管開存

 

 

(4)消化器系疾患

 

a)壊死性腸炎、
b)胃食道逆流現象

 

 

(5)血液疾患

 

a)貧血、
b)多血症

 

 

(6)その他

 

a)体温異常(高体温、低体温)、
b)感染(敗血症)、
c)代謝異常、
d)迷走神経反射(咽頭刺激などによる)、
e)薬物(鎮静剤、母体に使用された麻酔剤、プロスタグランジンEなど)

 

 

このように、様々な原因により無呼吸発作をきたす
わけですが、RSウイルス感染症は呼吸器疾患であり、
かなり重篤な呼吸不全をきたすことがあります。

 

 

上記の低酸素血症状態に容易に陥り、
それが誘因となって無呼吸発作をきたす、
あるいは気道分泌物増加による物理的気道閉塞、
これも無呼吸発作を引き起こします。

 

 

そして、この無呼吸発作に陥ってしまうと、
それに早期に気づけずに対処が遅れてしまった場合、
不幸なことに突然死、という結果になるのです。

 

 

■RSウイルス感染症と脳炎・脳症

 

 

一方、RSウイルス感染症による突然死症例の中には、
稀ではありますが、脳炎・脳症による症例が
含まれていると報告されています。

 

 

RSウイルス自体は、神経親和性が低く、
中枢神経症状は低酸素に起因するもの、
という理解がされてきましたが、
中枢神経症状を呈するものの中には、
稀ではありますが、脳症によるものが
含まれているようなのです。

 

 

検査法の進歩により、
髄液からのRSウイルスの検出、
髄液中のサイトカイン上昇、
が報告さています。

 

 

重篤な呼吸不全症状のみならず、
中枢神経症状も呈するRSウイルス感染症、
最悪、突然死のリスクもあるRSウイルス感染症ですが、
発症してからでは対症療法しかありません。
劇的に効果のある特効薬などは存在しないのです。

 

 

故に、重篤化を防ぐシナジス注射が重要となります。
早産児、心疾患を有する児、さらには本来であれば、
正期産で生まれてた児であっても、
シナジス注射を受けてRSウイルス感染症を
予防することが重要となります。

 

 

残念ながら費用の問題で、保険適応にならない
正期産児では実際問題シナジス注射を行うことは
出来ないのが現状ですが、入院症例はほとんどが
正期産児です。

 

 

今後の課題です。

 

 

記事作成日:2012年10月4日

 

 

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