RSウイルス感染症と乳児の細気管支炎・シナジス注射

シナジス投与は早産児だけが適応で良いのか?

またRSウイルス感染症の流行する時期がやってきました。
RSウイルスの流行時期は一般的には冬場から春先の寒い時期と
されていますが、沖縄などでは通年性に発生がみられているようです。
この間のRSウイルスのカンファレンスに出席した際に、
沖縄の先生がおっしゃっていました。

 

 

さて、当院では在胎34週以降の児の診療を行っていますので、
この時期になると退院前のシナジス接種や、
退院した後の外来でのシナジス接種で忙しくなります。

 

 

今の時期に退院になる赤ちゃんに対しては、
退院前の時点でご両親に説明してシナジス接種を了承してもらい、
すぐに接種も出来るのですが、既に退院していて、
10月時点で6カ月未満の赤ちゃんについては、
(※シナジス投与が必要な赤ちゃん を参照してください)
退院時にシナジス注射について説明しているものの、
実際には接種に来てくれない方が稀にいらっしゃるので、
そうした方々への実施徹底が課題です。

 

 

さて、当院の場合、在胎34週、35週で出生した児が
シナジス接種の対象者となりますが(当院では心疾患のある方に
ついては基本的に他院へ紹介しておりますので)、
この対象からも漏れる方、厳密にはシナジスが保険適応とならずに、
現実的には接種が不可能な方々のほうが、
RSウイルス感染症のリスクは高いように思います。

 

 

 

以前勤務していた病院でも、その病院は一般小児科とNICUが
あり、私はNICUに勤務していましたが、シナジス投与をした
早産児の赤ちゃんがRSウイルス感染症で入院した、
という経験は1年間の間ではありませんでした。

 

 

しかし、冬場になるとRSウイルス感染症で入院してくる児は
大勢おりました。みな、早産児ではなく、正期産の児です。
年の近い兄弟がいればなおさらリスクは高まります。

 

 

本来であれば、こうした早産児以外の児についても、
シナジスが保険適応であることが望ましいと思いますが、
なにせシナジスは恐ろしく薬価の高い薬剤であり、
それを許容してしまうと莫大な医療費がかかるでしょう。

 

 

RSウイルス感染症による入院また外来通院で生じる
経済的負担・労働損失・その他、と、シナジス投与による
それらの回避可能額を比較しないと判断できませんが、
一般的なワクチンは1万前後で受けられるのに対し、
このシナジスは最小の50mgのバイアルでも8万弱しますから、
コストパフォーマンスが釣り合わないことは想像できます。

 

 

ですが、一旦RSウイルス感染症に罹患すると、
急性期の症状として軽症であれば鼻汁・咳などですむこともありますが、
重症化する細気管支炎や肺炎を発症し入院生活を余議なくされるだけで
なく、最悪なケースとしては挿管の上、人工呼吸管理、
ということも考えられます。

 

 

また、急性期を脱した後でも、喘鳴を繰り返す確率が高いことが
分かっていますので、その時の症状が改善したからそれで終わり、
というものでもありません。

 

 

私自身も娘が34週で出生していますが、
その病院でシナジス投与をしてもらえず、
(当時私自身も知識不足でした)
その後風邪をひくたびにゼエゼエ・ゼエゼエ・・・
気管支炎、肺炎を繰り返し、私自身の手で入院させて
治療したこともありました。

 

 

喘鳴が落ち着いたのは、本当に5歳を過ぎたころです。
それまでは断続的にでしたが、気管支喘息として治療を
要していました。

 

 

やはりRSウイルス感染症は急性期の問題だけでなく、
長期にわたって子供にリスクを背負わせる可能性のある疾患ですから、
それを軽症化できるシナジス注射という手段があるにも関わらず、
医療費の問題だけで適応とならない児がいるのもいかがなものか、
という気もします。簡単ではありませんが、検討すべき課題でしょう。

 

 

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